<はじめて糖尿病と診断された人のために>

はじめて糖尿病と診断された人のために~神戸市長田区の永田診療所より~


糖尿病のいろは

糖尿病とは、血の中の糖分が多すぎる状態が続くことをいいます。いま皆様は、なぜ糖尿病と診断されたのか不審に思っておられるかも知れません。糖尿病になると、尿が近くなり、のどが渇き、おなかが空いて疲れやすく、食べても食べてもやせてくるといわれています。また、糖尿病は遺伝的な病気であるともいわれています。「症状もないし、親兄弟に糖尿病の人はだれもいないのに」と、なにかピンとこないのではないかと思います。

1.それでもやっぱり糖尿病なのです・・・

朝食前に、血液を検査して、血の中のブドウ糖(血糖値)が140mg/dl以上であるか、食後(1時間以上)の血糖値が200mg/dlあれば、糖尿病と診断します。健康人の朝食前の血糖値は70~90mg/d1であり、前の晩どんなに大食いしても110mg/dlどまりで、食後の血糖値も160mg/d1を超えることはほとんどありません。多尿、多飲、多食、体重減少といった症状は、血糖値が250mg/dl以上にならなければ感じないものです。子供や若い人に多いインスリン依存型糖尿病は、症状をともなって急激に発症しますが、わが国の糖尿病患者の97%を占め、成人に多いインスリン非依存型糖尿病は、いつ始まったかわからないくらい無症状に起こります。

2.なぜ治療しなければならないのか・・・

糖尿病を放置していたり、不適当な治療をしていると、全身にさまざまな合併症を起こします。
高血糖が持続すると毛細血管が侵され、眼底出血を起こす糖尿病性網膜症、尿毒症にまですすむ糖尿病性腎症、末梢神経障害が進行します。また、心筋梗塞、脳卒中、下肢の動脈閉塞による脱疽などが、糖尿病の患者さんに多いことが知られています。糖尿病の治療はこのような合併症を起こさせないように、またすでに起こしてしまっている人は、これ以上に進展させないようにするためです。
理解・実行・継続で一病息災・家族も健康

3.原因はインスリンの作用不足・・・

インスリンは膵臓のランゲルハンス島にあるB細胞で作られ、主として筋肉などの細胞に作用し、ブドウ糖を利用するのに用いられます。インスリン依存型糖尿病は、膵臓でインスリンが生産されないために起こる糖尿病です。インスリン非依存型糖尿病は、インスリンは生産されているのですが、肥満、食べ過ぎ、運動不足のためにインスリンの作用が妨害されて起こります。
糖尿病の治療は、まず血糖値を良好にすることですが、「糖尿病をコントロールする」ということは、ただ血糖を下げればよいというものではありません。体重を適正にし、血圧を正常に保ち、血の中の脂質(コレステロール、中性脂肪など)が多くなり過ぎないようにし、合併症を進める可能性があるものを取り除くことをいいます。糖尿病の治療は中断することなく続けること、食事療法も運動療法も生活習慣として取り入れ継続することが大切です。考えようによれば、糖尿病の基本的治療である食事と運動は「療法」などと呼ぶよりも、健康法なのです。糖尿病をコントロールすれば、末ながく健康な生活をおくることができます。必ずそれなりの答が出てくるのです。