日常生活での呼吸~長谷川桜子
呼吸を意識する
食事(栄養)と呼吸(酸素)
私たちは食事をして、栄養素をからだに取り入れています。でも、栄養素だからといって、取り過ぎてもよいものではありません。ここで大切なのが、栄養素と酸素とのバランスを考えることです。
酸素不足から不調がおこる?
ガスコンロはコックを全開にしたからといって、よく燃えるわけではありませんね。
空気の取り入れによって、ガスの燃焼をうまく調節します。空気が少なければススが生じて不完全燃焼を起こしますし、もっとガスだけをたくさん使っても火力が上がるわけではありません。ススがよけいに発生するだけです。
このことが、私たちのからだの中でも行われています。ガスという栄養素を上手に燃焼させる空気、つまり酸素を取り入れることをおろそかにすると、栄養素は完全燃焼してくれません。からだの中にカスやゴミ(余分な栄養素と消化不良物)が溜まるだけです。酸素を取り入れて、どんどん燃やしましょう。
とうぜんゴミも少なくなれば、からだの掃除を担当している腎臓の負担も軽くなります。病気との関連で見れば、1900年に野口英世博士が『万病一元論』で「すべての病気は酸素不足からおこる」と発表しています。
空気(酸素)が欠乏すると
「酸素が足りない」と感じるとき
締め切った狭い室内に長くいたり、混雑した電車に乗っているときなど、息苦しさを覚えることがありませんか。私たちは、このようなとき「酸素が足りない」とよく言います。
いかにも酸素に敏感なようですが、実は私たちのからだは酸素不足よりも二酸化炭素の増加に敏感にできているのです。火災の報道でも、二酸化炭素による中毒で倒れたという話をよく聞きます。
100メートル競争などでは、無呼吸か一呼吸ぐらいで走ってしまいます。しかし、二酸化炭素がからだに増えた状態では、この100メートルをゆっくり走るどころか、すぐに息切れしてしまうでしょう。
疲れた、こる、だるい、痛いなどの症状
二酸化炭素は、水に溶けやすい性質をもっています。ですから、血液にもすぐに溶け込んでしまいます。この量がからだの中に増えると、血液の酸性化がすすみ、早く排除しようと酸素を要求します。 それで、ハアハアという、あらい息づかいになります。疲れた、こる、だるい、痛いなどの症状は、酸素欠乏が起こって、二酸化炭素の増加のほうにからだが敏感に反応した結果なのです。